平成18年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援50団体の企画より、
その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。


  活動レポート    

NO学校・団体名都道府県企画の概要
7 山里自然学校ねぎぼうず 新潟県 「森でお茶を飲もう」
「火が扱える」という人としての基本を学び、燃焼のメカニズムを知るとともに、森の中からお茶や薬にむく植物を探し、自然からの恵みを利用する方法を学ぶ自然体験活動。

「森でお茶を飲もう」 [7/21]

 日  時:平成18年7月21日(土)
 参加者:中学2年生女子48名

全国的に梅雨末期の豪雨が続く中で、奇跡的に天候が回復した一日であった。
しかも午前11時近くまで降り続いた雨は生徒の到着1時間ほど前にぴたりとやんだ。
朝から雨プロへの変更の手配に追われていたが、それも全てキャンセルして
昼には私たちの森でお迎えすることができた。
森にある白樺や杉の小枝、春に下刈りをした雑木などを集めて燃やし、お茶を飲むというプログラムであり
すっかり濡れてしまった燃料に首尾よく火がつけられるかインタープリターでさえ不安なスタートであった。

学年総数181名のうちの48名がこのプログラムを選択し、インタープリター4名で対応する。
48名を三つの班に別け、更に分かれた班を3班に分割して全体を9班にする。
手をやすめる者、プログラムに積極的に係われない者を出さないようにとの配慮である。
インタプリターの内1名は植物を専門にする者であり、薬草やお茶になる植物を採集する担当とした。
7つのプログラムを用意し、生徒の選択に任せたが当プログラムを選択した者が一番多く
火への関心の高さか、「森でお茶を飲もう」というネーミングに引かれてかは分からない。
プログラムの進行はスタッフの紹介、プログラムの概要説明を行い各班に分かれて開始した。
午後4時には宿舎へ向けてバスが出るということで正味3時間ほどのあわただしい体験活動である。

各班には、三叉を作る竹竿3本、マッチの小箱1、火吹き竹1、鋸1、麻縄を渡し
森の中へと燃料になる木を拾いに出かける。
燃えやすい木、着火材となる樹皮の解説を行いその他森の植生についての話をしながら20分ほど採集を行なう。
着火材の白樺の樹皮に小枝をのせ火をつける。
小枝はランダムに置いたのでは中々燃え移らない。規則正しく隙間が無いように置くのがコツだ。
ある程度の火床ができるまでは同じ方向にきっちりと積む。
生徒の一人が学校で習ったのとは違うと言っていたが、実際山ではイラストに書いてあるようなおき方はしない。
ほとんどの生徒が火をあまり触ったことがないので炎が上がっていないと燃えていないと思ってしまう。
折角小枝に移った火も完全に燃やしてしまい徐々に補充することを忘れ消してしまう。
こんなことを何度か繰り返しながら、すっかり濡れてしまっている木に
それでも1時間ほどで湯を沸かせるほどの火を作ることができた。

火ができたら次は三叉、自在鉤をつくる。
この三叉作りもロープワークの本に書いてあるのとは若干違う。
山仕事を専門にする人の方法だ。そして適当な枝をとりヤカンのとってにかける自在を作る。
ヤカンや麻縄を除き全て山にあるものだけで道具を作る。
自在は火からの距離を調整できるので煮炊きにはよい方法だ。
三叉の材料を太い木にすれば50人や60人分のカレーを作ることもできる。
火にヤカンをかければ沸くまでに多少の時間が取れる。
この間に薬になる植物やお茶の代用になる植物の説明を受ける。
またそれぞれの薬草の利用の仕方、効能、保存方法などを説明し、実際に試飲をしてみる。
但し、試飲するものは1週間ほど前に採っておき陰干しをしたものである。
その他に火は単にお茶を飲むだけでなく、山からの恵みである魚や肉の保存を目的として
燻製や焼き枯らしの方法があったことなど山と火についての話をした。
もう少し時間が取れればもっと山と火と人の暮らしの関わりについて話をすることができたかもしれない。

都会からバスで来て、初めて森に入ったときには小さな虫にさえ拒絶反応をしていた子も
3時間という短い時間ではあったがその環境にも慣れて
森が少しでも体に沁みてくれたに違いないといつものことながら思う。
そしてこういった機会を与えられる子どもはつくづくと幸せであると思わずにはいられない。





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