平成17年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援30団体の企画より、その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。

  活動レポート    

部門団体名主な企画内容
一般 大杉谷自然学校(三重県) 「自然の底力~災害後の自然回復を調べよう~」
大杉谷自然学校は昨年、台風21号で大きな被害を受けた。しかし、生態系の回復はすでに始まっている。自然が回復する驚異的な底力を体験を通して感じてもらい、生態系の全体を学ぶ活動。

「自然の底力~災害後の自然回復を調べよう~」 [8/22~8/23]

 日  時:平成17年8月22日(土)~ 23日(日)
 場  所:三重県多気郡宮川村久豆
 参加者:10名(男子7名・女子3名) スタッフ8名
 講 師:水谷 継夫(魚類調査)・西 要司(災害被災体験)

 <スケジュール>
時 間 活動名・内容 写 真
1  日  目
09:00  スタッフ集合
08:20  名古屋駅移動列車発
11:50 ~ 12:10  受付・オリエンテーション
12:10 ~ 12:45  昼食と調査準備(着替えなど)
12:45 ~ 15:30  災害後の川の調査
15:30 ~ 16:00  寝床の準備※野宿体験
16:00 ~ 18:00  災害時に食べたメニューを調理
 [メニュー]
 空き缶ごはん・鮎塩焼き・缶詰
 チキンラーメン(お湯は羽釜)
18:30 ~ 21:00  夜の動物調査
2  日  目
06:30  起床
07:00 ~ 08:30  紙を使って朝ごはん!
08:30 ~ 09:30  準備
09:30 ~ 12:00  災害地現地見学
12:00 ~ 13:00  昼食
13:00 ~ 13:30  被災地の川の調査
13:30 ~ 14:00  まとめの時間

 <活動内容>
□災害後の川の調査□
台風21号災害で被災した川の調査を実施した。
宮川の魚類に詳しいダム管理事務所の職員の方に講師をいただき、魚を捕獲しその種類、大きさなどを調べた。
災害後は魚が少なくなり、調査時も稚魚しか捕獲できなかった。
子どもたちはきれいな川では大きな魚がいるものだと思い込んでいたので意外だったようだ。
ただ、今は一見きれいに見えていても10m以上もある橋の上まで水がきたことや
現在の河床より5m下が去年までの宮川の深さだったことなどの説明を聞いていた。
稚魚がいることは今後への魚類の回復の兆しであるとわかった。
□野宿体験や災害時に役立つ調理□
電気、水がなくなった昨年度の体験を模擬体験した。
まず、調理は空き缶でご飯を薪でたいたり、炭で魚を調理したりした。
食材も畑に実ったものをとったり、チキンラーメンなどの保存食を工夫して食べた。
皿を洗うこと、トイレにも水を使えなくして、実際に災害時に発生する問題を体験した。
また、夜は外でブルーシートだけで寝る体験も行った
□夜の動物調査□
災害により倒れて流されてしまった木に住んでいたムササビは無事なのかを調査した。
姿は確認できなかったが、新しい糞や食痕などを発見し、子どもたちはまだ住んでいるということを確信した。
また、夜道ではイノシシやシカなどを確認し、ムササビの鳴き声なども夜間に聞くことができた。
災害後被害を受けても動物は元気だということがわかった。
□被災地見学と川の調査□
川での体験で確認した大量の土砂が流れてきている場所である被災地を見学した。
また、実際に被害にあった人の話をきき、災害時の様子や災害のときに身を守る方法などを学んだ。
災害地の土石流発生地にもいき、森林荒廃の様子と災害の関連なども考えることができた。
被災地の川での調査も行い、災害状況が目に見えてひどくても、人間が復旧工事をしていても生き延びる
たくましい魚類の生息を確認できた。
 <参加者の反応>
・災害はひどいけど、その中でがんばる魚はすごい。
・夜にいろいろ動物を探すのがおもしろかった。身近に動物がいることがわかった。
・川の水はきれいだったけど、魚はあまりいなかった。いても小さかった。
・がんばってもとの自然に戻って欲しい。
・まるで工事現場のようだった。

 <実施後感想>
災害がテーマだったということもあり、災害の現状がどのくらい伝わるのか心配だった。
1年経過すると、実際災害の爪跡はまるでその状態がもとからの状態だったかのように見えてしまう。
また、動物や魚なども都会の環境に比較すると災害被害後でも大杉谷のほうが生息数は多い。
この差をどのように理解してもらうかに苦心した。
結果として、私たちは災害の被害の大きさとそれから力強く立ち直る生物を知ってほしいと考えていたのだが、
実際にリアルタイムに観察し続けている私たちのようにはその力強さは伝わらなかったかもしれない。
でも、魚類調査で稚魚ばかりしかいなかったり、復旧工事現場の川で何も生息していないようなところでも
魚がいたりするのを発見したり、土石流現場をまのあたりにする、被災者の方のお話をきくことから
想像はしてもらえたのではないかと感じた。
今回は災害の教訓を生かす意味も含めて、災害時に想定される生活の不便さも体験してもらえた。
万が一災害が起こったときに身を守るための方法を実践的に伝えられたと思う。




支援団体活動レポート