団体名 :高遠町子ども長期自然体験村2003実行委員会(長野県上伊那郡高遠町)
事業名称:たかとお子ども長期自然体験村2003
実施期日:2003年8月2日~10日
参加者数:28名(中学生5名、小学生23名)

 今年で4回目を迎える長期自然体験村が長野県高遠町で行なわれた。毎年のことではあるが、企画・運営を地元の人々・ボランティアスタッフ・NPO法人あったかとお・町教育委員会らによる手作りで練り上げ、実行する実行委員会形式で行なった。

◇地域全体が長期自然体験村サイト
 「たかとお子ども長期自然体験村」のねらいは大きく二つ。山里の自然や人、暮らしに触れての地域交流と、子どもたちの主体性を育む生活体験。これらは初年度から変わらず掲げているテーマである。
 今年は特に「地域交流」をもっと深めようという考えから、宿泊地の移動をせず、8泊9日の期間すべてを三義地区という日本の原風景とも言える山里の暮らしあふれる地域での体験村にした。廃校(旧中学校)の校庭をテント村にすることで、いつでも三義に暮らす人々の目にとまり、おかげで毎日の米・野菜などはすべて三義の人々からの頂き物でまかなうことができた。
 さらに地域交流プログラムとして、民泊やもらい風呂という企画を実施した。子どもたちが各家庭で畑仕事などのお手伝いをするかわりに(一人一本、鎌を持参)、その家でお世話になるというものである。これは子どもたちにとっても地域の方にとっても、いいふれあいの機会となり好評を得た。また、山菜取りや川遊びも地元の方に連れて行ってもらうことで、作られた自然体験ではない、リアルな自然体験となったのではないだろうか。

◇子どもたちの可能性は無限大
 さて、長期自然体験村の主役である子どもたちはというと…ビックリするほどパワフル!日々の炊事(基本的に夕食は子どもたちで作る)はまき割りから始めなければならないため大変であるが、そんなことはお構いなしに、彼らは何でも楽しみに変えていってしまう。竹工作や陶芸では子どもたちの自由な発想を見ることができたし、ロープと木の棒2本だけでの「ぶり縄木登り」では、あまりの手際のよさに講師の方も感心しっぱなしであった。
 長期自然体験村では「子どもミーティング」という時間を大切にしている。体験村でやりたいことや生活のルール作り、子ども同士のトラブルなど、毎日の生活の中で話し合いの場を必ず設けるためである。最初のうちはカウンセラーが中に入っていたものの、次第に子どもたちだけでミーティングを進めるようになっていった。色々悪さもしたけれど、中学生の男の子3人がリーダーシップをとって上手くまとめてくれたおかげである。

◇来年もまた会おう!
 水道も電気もガスも整っていない環境。炎天下でのハードなキャンプ。それから一転しての台風直撃。子どもたちもスタッフも、これほど厳しい生活になるとは誰も予想していなかったと思う。
 それでも彼らの瞳の輝きはまったく消えなかった。それどころか、終わりに近づくにつれて、彼らの顔はますますイキイキとしていった。おとなも子どもも関係なく、一緒に体験村を作り上げたという達成感があったのだろう。
 「また来年!」 自信と寂しさの混じった彼らの表情を今でも忘れられない。

(報告:たかとお子ども長期自然体験村2003 ボランティアスタッフ 村田喜直)